まるで美しい絵葉書のようなポルトフィーノ

ポルトフィーノ ブラウン城からの景色 リグーリア

紺碧の海から小さな港に入ると、一面に並ぶ白い船やボート。そして背景にはそれらを出迎えるかのような海辺特有のカラフルな建物。

ここはディズニーシーか、はたまた映画のセットか…と思うほどに完成度の高い美しさを誇る小さな小さな村、ポルトフィーノに行って来ました。

ポルトフィーノとは

イタリアの北西部、コロンブスの出身地&ジェノヴェーゼソースで有名な港町ジェノヴァから東に50kmほどのところにある、美しい村です。

『ポルトフィーノ』の名前の由来

『ポルトフィーノ』という名前の語源は古代ローマ時代の『Portus Delphiniポルトゥス・デルフィーニ』というラテン語に由来し、意味は「イルカの港」。大プリニウスが『博物誌』に著しています。

このエリアではイルカがたくさん生息していた(いる)のでそのように呼ばれるようになったのだと伝えられています。地元の人の話によると、今でも運がよければ見ることができるそうです。

ポルトフィーノの役場の紋章には、イルカが使われています。

ポルトフィーノの歴史

このエリアには紀元前8世紀ごろにはすでに人が住んでいた痕跡があるそうです。

古い時代には基本的に地元の修道院が管轄していた土地ですが、12世紀頃以降、イタリア各地に自治都市が発達するにしたがって、ここもその勢力争いに巻き込まれていきます。

1229年にはジェノヴァ共和国の一部となりました。

その後も、特に場所柄、四大海軍国家(ヴェネツィア、ジェノヴァ、ピサ、アマルフィ)のうちの二つ、ジェノヴァピサにはさまれたところなので、常にこの二つの国が取り合いしていた土地でした。しかも海にちょっと突き出したような形になっているので、見張り台を置くのにちょうど適した場所だったんですね。

それからも力をつけたミラノ公国に狙われたり、ナポレオン統治下のフランスの支配下に置かれたりと色々な歴史の波にさらされながらも基本的にはジェノヴァ共和国の管轄に置かれ、現在もジェノヴァを州都とするリグーリア州の一部になっています。

村の特徴

地図で見るとわかる通り、ポルトフィーノはとても小さな村です。2022年現在の人口はわずか359人。

ポルトフィーノ ブラウン城からの景色

この写真に映っているものが村のほぼすべて、と言ってもいいぐらいで、湾に面した広場(Piazzetta)とそれを取り囲む建物、そして山側に200mほど伸びるローマ通りが主要なポイント。そしてあとで紹介するブラウン城、その先の灯台まででほぼ全域です。

でもこの景色の美しさはなかなか他では楽しめないレベル!もともとは戦略的に重要ではあるものの、小さく貧しい漁村でしたが、この絶景に引き寄せられて世界中から多くの人が集まっています。

歴史上の有名人も訪ねてはその美しさを絶賛。現代のセレブにも大人気で、専用のクルーザーやヨットをここに置いているのだとか。だから歩いて30分ほどでまわれるこんなに小さな村なのに、ハイブランドのお店が軒を連ねています。いわば高級リゾート地なんですね。

そのため、観光地の多いイタリアの中でも特に観光客密度が高く、レストランなどもかなりお高めの価格設定です。感覚的には、イタリア国内で最も物価の高いミラノと同等か、それ以上のクラス。

ここはもう、そういうセレブ感を楽しむところなのだと割り切って、海辺のバカンスを堪能するのがいいでしょう!

ポルトフィーノの一押し観光スポット『ブラウン城』

ポルトフィーノの観光スポット『ブラウン城』
ポルトフィーノの観光スポット『ブラウン城』

もともとは西暦2-3世紀にはそのオリジナルとなる塔が存在していた場所で、後に戦略的な重要性から要塞として建設された建物です。初めて史料に登場する1425年以降、ずっとその目的で利用されていましたが、1867年にイギリス領事のMontague Yeats Brownにより購入され、プライベートな住居として改装されました。ここから現在の名前、『ブラウン城』が名づけられています。ちなみに今はポルトフィーノ村役場の管理です。

ここまでは坂道と階段を15分ほどがんばって登りますが、絶対に行った方がいい場所です!

絶景写真を撮るならココから!

お城の内部は2階建て+庭園があります。

庭園には展望台がついていて、そこからポルトフィーノの湾が一望。下から見ていたときよりも、はるかに美しいまるで絵葉書のようなロマンチックな景色が楽しめます。

ディズニーシーみたい、という印象を受けたのもそのはず、実際に東京ディズニーシーはここポルトフィーノや、近くのチンクエ・テッレというエリアをモチーフにデザインされているそうです。

また、東京ディズニーシーのオープンは2001年ですからもちろん本人の意志ではないとは思いますが、ディズニーの生みの親であるウォルト・ディズニーも、ここポルトフィーノを訪れたことがあるとのこと。また、フロリダ州にあるポルトフィーノ・ベイ・リゾートというホテルもこの村や港をモデルにしているのだそうです。

スクリーンショット参照元:https://www.universalorlando.com/web/en/us/places-to-stay/loews-portofino-bay-hotel

ちなみに上のユニヴァーサル・オーランドの公式ページを開くとトップ写真に「Provincia di Portofino」と書かれた”ポルトフィーノ県”の旗が掲げられています…が、実際には存在しない県、ということでやはり夢の世界なんですね。

さて、ブラウン城の中は居住用に改装されたお部屋がいくつか。

ここを訪れた有名人、俳優などの写真も展示してあります。

お城の中からでも、庭園からでも、どこを向いてもフォトジェニック!

ここで悠々自適に過ごしたい!と思ったブラウンさんの気持ちがよくわかります!

ポルトフィーノへのアクセス

ポルトフィーノへは、最寄りの街サンタ・マルゲリータ・リグレからのアクセスが便利。色々な手段でアクセスできますが、がだんぜんおすすめです!!

やっぱり海沿いの美しい村ですから、海からのアクセスでその景色を最初から楽しむのがおすすめ!

船は所要時間が15分程度、料金は片道9ユーロ、往復で購入すると16ユーロです。

船は色々なタイプがありますが、基本的に2階建てになっています。2階席には日よけはありません。

どのタイプに当たるかは運次第ですが、1階席の外側にもベンチがついているタイプがあって、これだと日に当たらないので暑すぎず、かつ景色や海風も楽しめるのでいいかも。

ちなみに大きい船ならお手洗いがありますが、小さい船はついていません。乗る船は選べないので事前に行っておいたほうがよさそうです。

船乗り場(サンタ・マルゲリータ・リグレ→ポルトフィーノ)

ヴィット―リオ・エマヌエーレ2世の像がある広場

の先に桟橋があります。チケットもここで売っています。

ちなみにお隣の広場にはジェノヴァ出身の航海士、コロンブスの像があります。

船乗り場(ポルトフィーノ→サンタ・マルゲリータ・リグレ)

午前中に着いて観光し、お昼ごはんを食べてゆっくりしてから戻る人が多いので、15時台、16時台の船は結構混みあいます。出航時間近くになると行列ができ始めるので、早めに行って並んでおいたほうがいいかもしれません。

一つだけ注意

船の一番後ろがオープンデッキになっているタイプで小さい船の場合(さらに天候にも左右されるかも)、揺れが激しいときに波をかぶってしまう可能性があります。もちろん、服はびしょ濡れに…

ポルトフィーノからの帰りは後ろ側からだと港を眺めつつ、帰途に着くことができて景色はいいんですが、そういうリスクもちょっとあったりします。2階席なら大丈夫!

ハイシーズン(5月~9月)は大体10時台から16時台まで1時間に1本。その他の時期は減便。船の運航は3月から11月まで。

公式サイトはこちら→ https://traghettiportofino.it/en/search

バス

所要時間は20分程度、本数は1時間に1~3本程度。最も安く、手軽にアクセスできますが、非常に混雑しています。片道5ユーロと、路線バスにしてはちょっとお高めです。

外からみた様子 ほぼ満員でたくさん立っているのが見えます

車体自体もそれほど大きくはなく座席数も少なそう。さらに利用者がとても多いので、座れる確率はかなり低いでしょう。

特にポルトフィーノからサンタ・マルゲリータ・リグレ側に戻るときのバスは、出発時間のかなり前からたくさんの人が待っています。あまり列になって並ぶという感じでもないので、早く来ても遅く来ても早い者勝ちの乗車順になりそう…それにお年寄り、子ども連れなどがいたらやはり優先されますので、健康な大人だとほぼ立ったままの乗車を覚悟したほうがよさそうです。

バス乗り場(サンタ・マルゲリータ・リグレ→ポルトフィーノ)

始発はサンタ・マルゲリータ・リグレ駅から。街の中心地からだと、船乗り場のあるヴィット―リオ・ヴェネト2世の騎馬像がある広場のすぐそばにバス停があります。

バス乗り場(ポルトフィーノ→サンタ・マルゲリータ・リグレ)

ポルトフィーノ発のバスは海を背にしてローマ通りを登り、リベルタ広場へ。時間前になるとたくさんの人がその辺りで待っていますので、すぐにわかります。

タクシー

タクシーの所要時間は10-15分程度。サンタ・マルゲリータ・リグレ側のタクシー乗り場にはポルトフィーノまでは40ユーロという表示がありましたが、エリア的に結構ぼったくりも多いという話も聞きました。

海沿いのドライブを楽しみたい!という場合はいいかも。

タクシー乗り場(サンタ・マルゲリータ・リグレ→ポルトフィーノ)

タクシー乗り場(ポルトフィーノ→サンタ・マルゲリータ・リグレ)

徒歩

サンタ・マルゲリータ・リグレからポルトフィーノまで、徒歩でアクセスすることもできます。

距離は5kmちょっとで所要時間は60分ほど。平坦な海沿いの道なので、歩くこと自体はさほど大変ではありません。が、途中から歩道がなくなるので結構危険です。

ちなみに上の写真、わりと道幅が狭いですが、一方通行ではありません。この瞬間は対向車がいないので向かいから来る車がこちらをよけてくれていますが(右側通行なのでこの車は本来もっとすぐ近くを通ります)、そうでなければ本当に体のすぐ横を車やバイクがまあまあ高速で通過していきます。

また、60分歩くとやはり結構疲れます。ポルトフィーノに着いたときにはちょっとぐったりめで、その先のブラウン城に登るのを思わず諦めようかと考えてしまったぐらいです(でもここは絶対に行った方がいいので諦めなくてよかった…笑)。

午前中はまだ少し日陰がありますが、暑い時期の午後だとかなりハードな旅になりそう。

途中で嫌になってもバスはほぼ通っていない&人がいっぱいで途中乗車ができるかどうか…、タクシーはぼったくられるかも…みたいなリスクはあります。あと、休憩場所はほぼなくて、途中にベンチが1か所ある程度。

途中のビーチの前にホテルが1軒あるので、そこに付属のレストランなどで食事ができるかもしれませんが、このエリアでも指折りの高級ビーチなのでお値段は推して知るべし…ですね。

ポルトフィーノは絶景を楽しむべき場所なので、それ以前に疲れてしまうのももったいない。やはり船でのアクセスが一番おすすめです!

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