イタリア北部の州のひとつ、ヴァッレ・ダオスタ州はスイス、フランスと国境を接する山合いの町。標高約600m、起源を古代ローマにさかのぼる歴史ある町です。
すぐ後ろにはヨーロッパ最高峰のモンブラン(イタリア語だとモンテ・ビアンコ)を含む、アルプスの山々が連なっていて、緑に囲まれた美しい景色が楽しめます!
さて、そんな山々の絶景をより楽しむために、アオスタからロープウェイに乗って高原のPila(の入り口)に行ってみました。頂上にはとても美味しいレストランが!😍(というかそこが目的地)
ロープウェイ乗り場(アオスタ側)

ロープウェイ乗り場は、アオスタ駅の南側、駅からは徒歩8分ほどです。目の前に広い広い駐車場もあるので、車でのアクセスも良し!
夏の終わりの午前中だったのでそれほど人はいませんでしたが、ピーク時はもしかしたらいっぱいになるのかな?
建物の中にチケット売り場があって、往復で8ユーロでした。券売機でも買えるようです。
ちなみに自転車を持ち込んだり、その他装具によって値段は変わります。
山合いの町を見下ろす旅に出発!

さて、チケットを買ったらロープウェイに乗り込みます。目的地の標高は1800m、600mのアオスタとは1200mの差ですから、結構な距離です。所要時間は18分とのこと。
乗り込んで数分経つと、アオスタの町が見えてきました。右のほうに見えている赤い屋根のエリアが駅の南側の施設、アオスタは小さい町なのでこれで大体全部見えているぐらいなのかな?
でも、まだ「町」の近くにいる感じです。

ロープウェイはずんずん登っていきます。もう町がだいぶ小さくなってきました。傾斜もそこそこあるので、とても勢いよく登っているように感じます。
高い山々と小さくなってきた町を眺めていると、大自然に囲まれたなんともいえない解放感を味わえます。

この辺りまで来るとアオスタの町の全景が目に入ります。町の南側を横切るのはドーラ・バルテア川、イタリア最長のポー川の支流です。
この高さだと町のすぐ後ろに高い山々が連なっていて、アオスタは緑に抱かれ、自然に恵まれた町だということがよくわかります。

目的地Pilaまでは二か所ほどロープウェイの駅がありました。

上のほうに来ると、山の斜面がなだらかな場所が増えてきます。ゴールはもうすぐ!
ちなみに今回の目的地はPila駅の前のレストランなので、ここで降りますが、ウィンタースポーツが目的の場合はここからさらに数本のロープウェイに乗り継いでより高い場所に行くことができます。
夏場はここで降りて、緑の中での食事や散策を楽しんだり、マウンテンバイクに乗って走ったりという旅行客がたくさんいました。
見晴らしのいい絶好のロケーション、『Yeti』で食事

Pilaのロープウェイ停留所で降りると、すぐ目の前にあるレストランです。店名の『Yeti』は、雪男という意味。なので、お店の前で雪男の人形がお出迎え!
ここはレストランとバールが併設されています。まだ早めの時間だったので、お客さんがほとんどおらす、「お好きな席へ!」と案内されました。ということで、せっかくなので一番眺めのいい外の席を選びました!

レストランのすぐ下にはプールが!さすがに人はいませんでしたが、真夏なんかはここからアルプスの峰を眺めながらのんびにプールサイドでリラックス…とか、すごく気持ちよさそう!
この日はちょっと雲が多めだったので山々の頂上は見えなかったのが残念だけど、それでも気持ちのいい風の中、青空と雲と緑を眺めながらのお食事だったので、心地よかったですよ。
ちなみに、9月の上旬ですが結構寒かったです…天気予報をチェックして町では真夏の恰好、念のためにジャケットを持って行ったけど、寒い!⛄寒い!!⛄⛄寒い!!!⛄⛄⛄
特に足元がサンダルだったので本当に寒かった…真夏でも、たぶんちゃんと靴下+靴で行った方がいいのかも、と思いました…次回こそは。
でも、お店の人もとても察しがよくて、「ちょっと寒いかな?毛布持って来ましょうか?」と、救いの手!!「はい、ぜひお願いします!」と食い気味に答えたところ、3枚ぐらい持って来てくださいました。
でもサンダルの足を包むわけにもいかないので、やっぱり足先はちょっと寒いままでした😅とはいえ、毛布効果は抜群、ずっと快適になりました。
さて、気を取り直してお料理のオーダーです!
メニューはどれもこれも魅力的で、迷いに迷ったんですが…プリモなし、前菜、セコンドとドルチェの組み合わせでお願いしました!
まずはこちら、『フォンティーナの天ぷら』!

アオスタ州といえば、その山合いの緑から想像される通り、チーズを中心とした乳製品がとても有名なところです。特にこのフォンティーナチーズはD.O.P.指定を受けているアオスタ州の名産品。独特の香りがありますが、天ぷらにしていただくとそれほど気にならず。というか絶品!!
温かく、ほどよくとろける(かといって垂れてしまうほどではない)柔らかいフォンティーナチーズにちょっぴりの塩味。
肌寒かったこともあって、温かくて優しい味がとても嬉しい!あっという間になくなってしまいました。もっと食べたかった…。
そして乳製品が有名ならもちろん牛肉も。ということで、こちらは牛肉のタルタル、ゴルゴンゾーラ添えです。

上に載っているのはカリカリにトーストして砕いたパン!タルタルは思ったよりもあっさり目で、ゴルゴンゾーラとあわせるとちょうどいいバランス、そこにパンのカリカリがほどよい刺激になっています。
普段、トスカーナでのタルタルはにんにくと塩コショウで結構しっかり目に味がついていて、そこにさらにバルサミコ酢をあわせていただいたりするからか、味は強いイメージでしたが、ここアオスタのタルタルはとてもやさしくて優雅な感じがしました。
材料の牛肉が違うというのもあるのかもしれませんが、同じお料理なのにとても地域性が出ていて興味深いですね!
そしてこちらは鹿肉の煮込みポレンタ添え。

ポレンタは北イタリアのミラノやトリノ、ヴェネト州などでもよく食される食べ物で、とうもろこしの粉で作ったおかゆみたいなものです。
鹿肉はがっつりとたくさんのスパイスとともに煮込んでありました。ちなみに鹿肉は名物なのか、このお料理のほかにも『鹿肉のステーキ ベリーソース』とか、『鹿肉のカルボナーラ』とか、『鹿肉のグリル』とか、バリエーション豊富でした。
やはり山のエリアだからか、鹿の他にもサルシッチャ(ソーセージ)、仔牛、ヤギ、ヒツジ、ウサギなどなどセコンドはお肉選び放題!です(鶏と豚はない…のは、寒いから…?)。
こちらは付け合わせのポテトのオーブン焼き。普通においしかったです。ドシン系のお料理の箸休めにちょうどいいかも。

そしてドルチェ!!ドルチェは、本日のメニューをお店の人がおすすめしてくれるスタイル。なので、写真を撮ったもの以外は何があったかは忘れました。
まずは定番のフォンダンショコラ。美味しいぃ💗チョコレート、濃厚でした。

でも、それよりなによりめちゃくちゃ美味しかったのがこちら!!!

丸くて薄くてやや甘いビスケットに、生クリーム、そして上に栗が乗っています。これがもう絶品!😍💗
これは名前を「tegole」と言って、ここアオスタの名物のお菓子だそうです!
「tegole」は屋根瓦という意味。あ、そういえば、ロープウェイで登ってくる途中に見たお家の屋根はこんな風な魚のウロコみたいな屋根だったのが印象的でした!イタリアの他のエリアではまず見ないな、と思って写真を撮っておいたんです。ちなみにあとでよく見たらお店の屋根もこの屋根瓦でした。

ということで、tegoleはイタリアの瓦せんべいってことですね。といっても日本のそれと比べるととても薄くてデリケートな感じがします。どちらかというと、ラングドシャに近いような。あんなにエレガントで甘くはないけれども。
あまりに美味しかったので、このあとアオスタの町に降りて、たまたま入ったスーパーで売っている量産品のtegoleとチョコレートのかかったtegoloseというお菓子を買って帰ったんですが、めちゃくちゃ美味しかった!!ので、家に帰ってからもちょくちょくお取り寄せしています。
ちなみにお料理に合わせてお願いしたワインはこちらの2本。色々楽しみたかったので、ハーフボトルにしました。

というわけで、しっかりお料理もワインも楽しんだので、お散歩へ!
入ったときは2、3組しか席についていなかったのですが、食事中にどんどんお客さんが入ってきて、お店を出る頃には店内・屋外ともにほぼ満席でした。ハイシーズンが過ぎていてこれなので、予約は必須ですね!
- 営業時間:月-水 11:30-14:30 / 木-日 11:30-14:30, 19:30-21:00
- 住所:Frazione Pila, 22, 11020 Pila AO
- 電話:0165 521181 / +393334633167
- メール:info@yetipila.it
- 公式サイト(予約フォームあり):https://www.yetipila.it/
食後、周辺を散策
しっかりドルチェまでいただいてお腹いっぱい!大満足!なところで、周辺を散策しました。

肌寒いのはそのままですが、お天気がよくて青空と緑なので体に良いなー!と感じられる空気でした。
やっぱり、木は標高の高いところに生えている感じのタイプですね。
散策中にあまり写真を撮らなかったのですが、大体レストランの周りはロープウェイから見える感じの緑がいっぱいな自然あふれるエリアでした。
ちなみにモンブランはこの写真の真ん中ぐらいに位置するのか?(レストランから方角を確かめることはできたのですが)、この日はどうやらそれらしき山は雲の中でした。残念!

ホテルっぽい建物も。駐車場も、停まっている車はまばらでしたが、冬のシーズンはきっと満員御礼なんでしょうね。
ちなみにこの右手の建物内はお手洗いがありました。
さて、少し歩いて腹ごなしできたところで、帰途に着きます。
帰りのロープウェイの乗り場は(来たところと同じですが)この看板を目指して…

乗る人も少なかったので、すぐに乗れました。帰りも正面にアルプスの山々、そして眼下に緑が広がって、だんだんアオスタの町が近づいてきます。

麓に着くと、上の寒さがウソのように夏の気候。とはいえ、アオスタはかなり涼しいので、真夏の服装でもちょうどいいぐらいに感じる程度(25℃前後)。とても過ごしやすい町でした。